朝礼訓辞

平成29年6月 朝礼訓辞

 第2次世界大戦で、日本は、ドイツ、イタリアと三国同盟を結び、アメリカ、イギリス、
フランスその他の連合国と戦争を行ないました。
 先ず、イタリアが負け、次にドイツが負け、最后に残った日本も負け、昭和20年終戦を
迎えました。
私はその年、10才で小学校(当時は国民学校と呼んでいた)4年生でした。

 この間いろんな悲惨な出来事が起こりましたが、最も悲惨だったのは、ナチスドイツによる
ユダヤ民族の迫害ですが、約3千万人のユダヤ系の人々が殺されたと云われています。
 アウシュビッツの収容所に強制入所させられたユダヤ人は餓死か、銃殺か、ガス室などで
死んで行きました。
この中にあって奇跡的に生還した精神科医で心理学者でもあった、フランクルという人は、
その体験を生々しく綴り「夜と霧」という本にまとめましたが、世界的ベストセラーになり、
国境や人種を超えて、多くの人々に読み継がれています。

 人間は、アウシュヴィツのような極限の状態に置かれても、生き甲斐を失わなければ、
どうにか生き抜けられるものだ、と述べています。
 フランクルは、収容所での体験を分析して書いてみたいという希望そして愛する妻と再会
したいという希望に支えられ生きのびたのです。
 フランクルは
「生きていることに何の希望も持てない」
と自殺願望を口にするようになった人に向って
「人生はあなたに何かと期待している、生きていさえすれば未来にあなたを待っている何かがある」
と懸命に説得し成功した例も数多くあったのです。

 自殺をする人は、希望を失った人です。希望を持っている人は自殺しません。
希望を見出すには、仕事をすることです。
 単なる仕事ではなく、自分に与えられた天職であるということを自覚して仕事することです。

 フランスの画家シャガールという人は、90才の誕生日に永生きの秘訣について尋ねられた
とき、「働いて、働いて、働き抜くことです」と答えました。
 野口英世の母シカさんは、福島県盤梯山のふもとにある湖、猪苗代湖で毎朝3時に起き、
エビを獲り、市場に売り行き、家族の生活費と野口英世の学資にあてたと云われます。

 江戸時代から明治、大正時代、水呑み百姓と云われた小作人たちは、作った米の殆どを地主に
とられ、自分たちは残された少しの米粒が入ったお粥をすすりながら、朝から夜遅くまで働き、
テレビもラジオも新聞もなく、電気もない夜を過ごし、翌朝はまた、早く田んぼや畑に出ました。
それでも、生きて行かなければならなかったのです。
 そして、一生懸命に働いて、働いて、働いてその一生を終わったのです。

 私達は、本当に恵まれた時代に生きています。
全てのことに感謝の心を持って、困っている人、病に苦しんでいる人、悩んでいる人のために、
役に立つことをなし、寄り添ってあげるよう心懸けながら、日々の生活を送らなければならないと思います。

 昨日6月6日、梅雨入りでした。
寝冷えや食中毒などに注意しながら今月も頑張って参りましょう。  

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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