朝礼訓辞

令和2年12月 朝礼訓辞

 とうとう今年も最後の月となりました。今年はコロナに明け、コロナに暮れた年であったと云えそうです。
 昨年12月の末、中国の武漢で発生したとされる新型コロナは、1月には日本にも伝播して来、その後、世界各地を恐怖のどん底におとし入れました。
 日本では3月にクルーズ船で第1波が始まり、6-7月の第2波が10月に第3波となり、今や第4波の発生と云われます。

 日本人の衛生観念は、古来より秀でたものがあり、うがい、マスク、手洗いなど実に几帳面であり、法令に従い生活習慣を守って来ました。
 欧米に比べると比較にならないほど、日本の感染者数は少なく、欧米の100分の1と云われます。このことは、欧米人は数万年にわたり、ネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子のせいではないかと医学雑誌ネイチャーに報告されたこともありました。

 日本では、第10代崇神天皇の頃、今から1700年も前のこと「疫病」が流行し、国民の大半が死んだ、という記録が「日本書紀」に残っています。そこで天皇は神に謝罪し祈ったとありますが、「疫病」から国民を守るために造られたのが、今の「伊勢神宮」なのだそうです。日本のあちこちにある神社仏閣は、「五穀豊穣」の意味があると同時に「疫病」から国民を守るために造られたと云われます。

 大正7、8年頃に流行したスペイン風邪では、地球上で5億人の人が罹患し、3000万人が死んだと云われます。
 現在では、アビガン、レムデシビルなどの抗ウイルス剤の他にデキサメタゾンという薬が開発され、アメリカではファイザー製薬がワクチンを開発中であったり、すでにロシアではワクチン接種が始まったという報道もなされています。

 寒くなると新型コロナウイルスの生存期間は長くなり、また空気が乾燥すると水分が失われ、飛沫が軽くなりウイルスが遠くまで届くようになります。こうしてウイルスにとって好条件になるのに加え、寒くなると、人々は部屋の換気をしなくなり暖かい部屋やお店に集まるようになります。
 このように寒くなると一般に人間の抵抗力がおとろえ、ウイルスを排除する能力が低下するのです。

 そこで私達は基本に戻り、うがい、マスク、手洗い、換気、三密などに留意して新型コロナから身を守らなくてはなりません。そして不幸にも罹患した人のために働くのが私達の役目ですので、そのことを忘れないように頑張りましょう。
 今年も残り少ない日々を何卒よろしくお願い申し上げます。

「文藝春秋7月号」「週刊新潮11月19日号」より参照

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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