朝礼訓辞

平成31年2月 朝礼訓辞

 日本に国民皆保険制度が施行されたのは、今から57年前、昭和36年のことです。
 世界に冠たる制度で、まだアメリカにもありません。作ろうとしても中々まとまりません。ですから、アメリカでは貧しい人は、医療費が高くて病気になっても、望ましい医療が受けられません。

 日本の社会保険、国民健康保険制度は、人口の高齢化のため、医療費が上回り、破綻寸前になり、そこで生まれたのが、介護制度です。
 介護保険は、今から19年前、平成12年に導入施行されました。
 各市町村単位の制度ですので、これを賄うために、年々、介護保険料が上り、どこの家庭でも、大変な負担になっています。
 医療費の高騰が、市町村の財政を圧迫しています。

 介護保険制度には、7つの段階があり、支援ⅠとⅡ、要介護には、ⅠからⅤまでの5段階があります。
 それぞれの重症度に応じ、サービスの量が違います。
 介護保険を希望する場合、本人または家族が、市の福祉課に申請をします。
 これに対し、ケアマネージャーなどの調査員が本人に面談するか、または家族に病状を聞き、調査します。
 この調査の結果を厚労省が作ったコンピューターにかけ、一次判定を行います。
 一次判定の結果を基に、これを介護保険審査会にかけます。医師、歯科医師、薬剤師、看護師と介護福祉関係の5人が1チームとなって審査を行い、介護度の決定を行います。

 私も介護保険が始まった19年前から審査会に参加しています。
 調査員の調査した病状調査の中には、驚くほど貧しく悲惨な現状が浮きぼりにされることがあります。

 例えばこんな例があります。
「59歳男性。この方は一軒家に障害のある母親と2人暮しです。腎不全で20年以上前から、週3回の人工透析を受けています。20年前に脳出血になりましたが、今のところ後遺症はありません。左眼は摘出し、右眼は緑内障で視力が低下し、今はぼんやり見える程度です。頸椎狭窄症のため、手術を受けており、両手にしびれがあります。屋内と屋外に手摺りが設置してあり、日常はどうにか自立しています。掃除と洗濯は母が、買い物や調理、食器洗いなどの家事は、本人と母の所に来るヘルパーが担っています。」

 このような生活をしている人が種子島には大勢います。
 私達は、これらの人々のことを忘れてはなりません。
 自分は恵まれていることを常に感謝し、日常の生活を送りながら、仕事に従事して行かねばなりません。
 決して、思いやりの心を忘れてはなりません。

インフルエンザが流行しています。うがい、手洗いに注意しながら、今月も一緒に頑張りましょう。

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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