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江戸時代のことです
仏教のある禅僧のもとを1人の若い武士が訪ねて来ました。その若い武士は「人は死んだあとに地獄に行く者もいると云いますが、本当でしょうか」と尋ねました。
すると、その禅僧は「侍のくせに地獄が怖ろしいのか」と云って笑いました。
その若い武士は、馬鹿にされたと思い怒り狂って「何を云うか」と刀に手をかけました。
ところが、その禅僧はおかさず「それが地獄だ」と指摘しました。その若い武士は、禅僧の言葉を悟り「わかりました。申し訳ありません」と心を静めました。
それを見て禅僧は「それが極楽だ」と云いました。
禅の考え方では、地獄も極楽も「あの世」にあるのではありません。現在の人の心にあるのです。
つまり怒りから心を乱せば、すなわちその乱れた心が地獄なのです。気持ちを静め、おだやかな心となれば、そのおだやかな心が極楽なのです。
このたとえ話は、「腹立たしくなるような経験をしても、動ずることなく、おだやかな気持ちでいれば、その人の心は地獄へ落ちることはない。極楽の中心にある」ということを私達に教えているのです。
キリスト教の聖書には、「金持ちが天国に入るのは、ラクダが針の穴を通るより難しい」という意味の言葉があります。
金持ちは、もっと沢山お金を増やそうとなり振りかまわず、悪いことを企み、世の中には恵まれない人、貧しい人が沢山いることを忘れています。
だから、地震とか津波とか台風とか、豪雨などの自然災害などへの寄付はあまりしません。金持ちでも多額の寄付をする人もありますが、寄付するのはかえって貧しい人が多いのです。貧しい人は貧しい人の気持ちが解るからです。
世界には貧困や飢餓に苦しんでいる人が沢山います。アフリカでは、何百万人の子供達が飢え死にしています。東南アジアやシリアやパレスチナなどでは戦争難民が沢山いて、寝る所もなく、テントで生活しながら、その日その日を送っています。
私達はそれらの人々の為に500円でも1000円でもよいから、手を差し延べましょう。それは莫大な金額になります。そして私達は日々の生活や仕事の中でも、恵まれない人のこと、病に苦しんでいる人達のことを心に秘めて、生きて行きたいものだと思います。
台風24号では皆さん、それぞれ心配なさったことと思います。「せいざん病院」では、渡り廊下のトタン屋根が吹き飛び、明るくなりました。
外来・病棟とも、大した被害はなかったようですが、私はこの病院を建設する際、設計事務所に、台風と地震に十分耐えられる設計にしてほしいと、念を入れてお願いしました。
サッシも一番上等を使ってほしい木材も地杉の良質のものを使ってほしいと頼みました。建設費は嵩みましたが、よかったと思っています。
23日(土)夜8時頃、病院に電話を入れたら、停電で大変だということでしたので、すぐサンシードに行き、ローソクを50本買い病院へかけつけました。
ところが、入部先生や当直のスタッフから笑われました。
帰り際に私は九州電力営業所に立寄り、病院では酸素吸入やハートモニターなど使っているので、何とか早くしてほしいと懇請しました。
九電の返事では、「12時まで頑張ってみます。それでも駄目なら、明朝5時から工事をします」という返事でした。11時頃には電気がついたようですので、少しは掛け合いの効果があったのかな、と思いました。
台風25号がまた近づいています。十分に気を付け、患者さんを守りましょう。
「動じない心をつくる85の言葉」より
医療法人純青会 せいざん病院
理事長 田上 容正