朝礼訓辞

平成28年12月 朝礼訓辞

 アメリカの16代大統領は有名なリンカーンでした。
ある朝、急用でホワイトハウスを訪ねたリンカーンの秘書ジェームスは、案内されて広間に
入ろうとしました。
すると廊下の片隅でしきりに靴を磨いている男がいました。秘書は、何気なく傍を通り過ぎようとして、 あっ、と驚いて立ち止まりました。それというのも、大統領リンカーンがしきりに
自分の靴を磨いていたからです。
 秘書のジェームスは、リンカーンに向かって云いました。「大統領御自分でそのようなことを なさるのは具合が悪うございます。殊に貴婦人方に見られては困ります」
 すると、リンカーンは、人なつっこい目に微笑を浮かべながら答えました。
「ほう、靴磨きは恥ずかしいことなのかね。ジェームス君、それは違っていると思うな。
大統領も、靴磨きも、同じく世の人のために働くものだ。世の中には卑しい仕事というものは
ない筈だ。ただ心の卑しい人はいるものだがね」こう云って朗らかに笑っていました。そして
汚れた手で渡された重要書類を靴を磨いていたときと同じような熱心さで読み始めました。
 リンカーンは南北戦争に勝ち、奴隷解放を行い、アメリカの統一を完成させましたが、
56才の時、暗殺されました。
 「人民の人民による、人民のために政治」という、ゲテイスバーグでの演説は余りにも
有名で、今日も世界のあらゆる所で、引用されています。

 去る11月8日、アメリカの次期大統領にトランプ氏が選ばれましたが、トランプ氏には
自らのビジネスに不利な政策であっても、実行にできるのか。という声が上がっています。
経済用語で利益相反というのだそうです。
 また、アメリカの有名な科学雑誌であるサイエンスが声明を出しました。それは、「科学的
事実に基いた政策をやってほしい」という主旨のものです。
 イギリスには、ネイチャーという科学雑誌があり、スタップ細胞で有名になった小保方さんの
論文が掲載されました。
 サイエンス、ネイチャーともに世界の学者達が一生懸命に研究を重ね発表する世界で最も
権威のある雑誌でノーベル賞もこの雑誌に掲載されなければ貰えないとも云われ今地球上で
問題になっている地球温暖化のパリ協定をないがしろにするような発言がトランプ氏の演説の
中にあったからだろうと推測されます。これは、異例のことだそうです。

 自分のビジネスに政治を利用したり、科学を軽視するような政治はしてほしくないと世界中の
人々が願っていることだと思います。
政治家には、国家、国民のために働くという信念だけが必要なのではないでしょうか。

 今年も皆さんとても頑張って下さいました。いよいよ今年も最後の月になりましたが、
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。寒くなって来ましたので、風邪をひかないように
健康に気を付けて下さい。

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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