朝礼訓辞

平成27年12月 朝礼訓辞

 今年はノーベル賞を2人の日本人が受賞されました。1人は医学生理学賞の大村智、
北里大学特別栄誉教授で、もう1人は物理学賞の東大教授 梶田隆章先生でした。

 大村先生は、土壌に含まれる天然の細菌から、感染症を引き起こす寄生虫駆除に
有効な菌を発見し、「イベルメクチン」という名で商品化され、アフリカなど熱帯地方で
猛威を振るい多くの人を失明に追い込んできた「オンコセルカ症」日本名で「河川盲目症」や、
下半身が腫れあがる「リンパ系フィラリア症」日本名で「象皮病」の特効薬として、今では
毎年3億人の人が服用しています。

 これだけでも十分な業跡ですが、大村先生はアフリカの大手製薬会社メルク社と共同で
無償にてこれをアフリカの患者に供与し、多くの病人の命を助け、失明から救って下さい
ました。それ故に、大村先生はノーベル平和賞でも不思議ではないと云われ、また「平成の
野口英世」とも呼ばれています。

 野口英世は、黄熱病で沢山の人が亡くなっているのを見て、アフリカに渡り、夜も昼も
顕微鏡をのぞき、黄熱病の病原体の研究中に、患者さんが持って来て呉れた水を飲み、自分も
黄熱病に罹り、アフリカに倒れた偉人ですが、皆さんもこのことはよく御存知だと思います。

 大村先生は、私と同じ昭和10年生まれの今年80才になられますが、山梨大学を出て、
夜間学校で教鞭をとっていた時、町工場から学校に直接走って来て授業を受けている生徒の
手が油で汚れているのを見て、衝撃を受けました。彼らは働き乍ら、一生懸命勉強しているのに、
自分は一体何をやっているのだろうと発憤し、東京理科大学で勉強し直し薬剤師となり、
アメリカにも留学し、教え子を師として自らの人生を大転換させられたのです。

 大村先生が或る雑誌の対談に応じられ話された言葉のいくつかを挙げてみますと、
1.人があまり考えないことで世の中の役に立つのが、自分の使命だと思い、人がやって
  いないようなことに絶えず挑戦して来ました。
2.失敗を恐れず、新しいこと、人がやらないことに挑戦してこそ人を超えるチャンスが
  掴めるのです。
3.受けた恩は石に刻めといいますが、恩を忘れては駄目です。
4.自分に与えられた場で、自分の役割を果たすことが大事です。しかし、ただその場に
  甘んじているのではなく、そこを乗り越えて自分でなければ出来ないところを見せなければ
  いけません。
 以上のようなものがあります。

 大村先生は、また、スポーツマンで、スキーで国体に出場し、また、ゴルフもされる
そうです。文武両道の型破りの先生ですが、ゴルフをされることを知って、私はとても
安心しました。
 これからも仕事もゴルフも頑張りたいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。

 いよいよ12月に入り、今年の最後の月となりました。体に気を付け乍ら、患者さんを大事に
親切にしてあげて下さい。

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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