朝礼訓辞

平成27年3月 朝礼訓辞

 難病と闘う子供達は、今全国に25万人いると云われています。全てを抛(なげう)ち、
彼らを看病する家族の数も同数近くいると云われています。
 しかし今の日本の小児医療は保険診療上不採算ということもあって、縮小傾向にあり、
闘病する子供やその家族を支援する体制は、決して十分とは云えません。

 このような現状を改善しようと1人の会社員が立ち上がりました。12年前(2003年)
NPO法人「スマイル・オブ・キッズ」(子供達の笑顔の意)を立ち上げました。
神奈川県立こども医療センターの横に、全国から難病治療のためセンターを訪れる患者家族が
安くで宿泊・滞在できる「リラの家」を開始しました。チャリティー活動で募った寄付金や
ボランティア活動で得た基金がもとです。

 24時間365日間運営され、個室8室と自炊・洗濯設備、同じ境遇にある家族同士が
交流できる共同のリビングが設置されています。「同じ悩みを持つ親御さんに出会え、
精神的負担が軽減できた」「難病と闘う子供の傍(かたわ)らに安心して寄り添える」
といった嬉しい声が聞かれます。

 「お父さん頭が痛い!」それまで元気にしていた6才になる娘さんが突然、頭痛と吐き気を
訴えました。検査したところ、悪性の脳腫瘍でした。すぐに神奈川こども医療センターに入院、
本人にとっても、家族にとっても、全身全霊を懸けた闘病生活が始まりました。

 抗ガン剤の投与、放射線治療が続く中、可能な限り家族と楽しい時間を過ごさせようと、
この会社員のお父さんとお母さんも仕事の合間を縫って病室に駆けつけました。
小康状態の時には、自宅に連れて帰り、大好きなアニメを見せてあげました。
病状が思わしくない時には、病院のロビーや車の中で夜を明かすなど、可能な限り、
娘さんに寄り添い続けたのです。
 余命半年と云われた通り、8月に発病し翌年2月に帰らぬ人となりました。
 娘さんの死後、親としての責任を十分に果たせたのだろうかという思い、また闘病生活を
親身になって支えて呉れた医療関係者の方々への恩返しがしたいとの思いから、NPO法人
スマイル・オブ・キッズは出来上がったのです。

 何かを成し遂げたいという思いは、強い勇気と意志があれば、どんなことでも出来るのです。
今、私達「せいざん」で働く者にとっては毎日、患者さんにやさしく寄り添い、声を掛け、
いたわってあげることが最も大切なことだと思います。

 3月に入りました。新しい病院になり2年目が終わろうとしています。
今月も一緒に頑張りましょう。

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

トップへ戻る
スタッフ
アクセス
新着情報
ギャラリー