朝礼訓辞

平成27年2月 朝礼訓辞

 私達の人生には、さまざまな出来事が起こりますが、その出来事から受けるストレスを
数値化した有名な研究があります。
 アメリカの心理学者 ホームズという人と、レイという2人の学者によるものですが、
最もストレスが高いのは、配偶者の死だそうです。夫が早く死ぬか、妻が早く死ぬか、
これを100とすると、2位は離婚で73、続いて夫婦の別居65、配偶者以外の近親者の
死63、第5位が本人の怪我や病気で53となるそうです。

 死別は確実に訪れるにもかかわらず、多くの人は心の準備をしません。病院や学校では
年に1度、火災訓練があります。東北の大津波や福島の原発事故、御嶽山の火山噴火など、
自然災害に対する訓練が多く見られます。大変よいことだと思いますが、火災など1年で
限りなく0%に近いものに訓練はするが、発生率100%の死別に対する心の準備を
しないのはおかしい、と日本で初めてホスピスを提唱された医師の柏木哲夫先生は
仰言いました。

 人の臨終時に家族が患者にかける言葉はさまざまです。死が間近に迫っている夫に向けて
奥さんが「お父さん、ご苦労様でした」と云いました。これはねぎらいの言葉です。
妻や子供たちの為によく働いたのでしょう。
 死が間近に迫っている妻に向かって夫が「お母さん、有難う」と云いました。
感謝の言葉です。妻は夫を支え、家族をしっかり守ったのでしょう。
 臨終近い夫に妻が「お父さん、ごめんね」と云いました。もっと料理に気をつけていれば、
癌などにならなかったのに、という反省の言葉です。

 看取る人と看取られる人が良い関係にある時に、看取る人が看取られる人にかける言葉は
3つです。「有難う」「お疲れ様」「ごめんなさい」すなわち、感謝・ねぎらい・反省の
3つです。
 夫婦の間にこの3つの言葉が存在すれば死別は悲しいものであっても、残された者は、
時間とともに癒されるのです。
 イスラムとヨルダンのような関係にならないように、お互い仲良く暮らしましょう。

 インフルエンザが流行しています。体に気を付けて今月もがんばりましょう。

医療法人純青会 せいざん病院
理事長  田上 容正

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